ギタリスト専用ブログ

ギタリストに役立つ記事を配信します

このトレーニングしてないと貧乏ギタリスト一直線

ストーリー

津本幸司 貧乏

津本幸司 貧乏

人間の脳が資産形成に適していないのは他の章でも述べていますが、特にストーリーが存在するとまともに感情に影響を与えてしまいます。分かっているのにストーリーが感情に直結してしまうのです。よくある例を現代風にアレンジしてお伝えします。

自分が運転する車のブレーキが効かなくなりました。ハンドルは左にだけ切ることができます。このまま進むと目の前の五人を轢き殺すことになります。しかし、ハンドルを左に切れば、左にいる可愛い女の子を一人だけ轢き殺しますが五人は救われます。どうしますか?

ほとんどの人がハンドルを切れないのです。その理由は「自分で選択して女の子を轢き殺した」という事実は、「何もしないで五人が轢き殺された」という事実より重く感じるからです。

そして、知らない女の子であるにも関わらず「可愛いから、将来があるから」と瞬時に正当化する言い訳が思い付きます。「五人か一人、どちらを殺すのがいいですか?」という質問なら「一人」と即答できるのにも関わらず、このような行動を取るのが人間です。確実な「利点」よりもストーリーによる自分の感情を優先するものなのです。

別の例

別の例として、バングラディシュのバター生産量とS&P500の動きに相関が見られるような、全く関係のないアノマリーを信じたくなるのが人間なのです。無関係であることは分かっていながらも「何かあるかも知れない」と好奇心旺盛になってしまいます。事実より、科学より、ストーリーの力は大きいのです。

知能低下

さらに、このようにストーリーを基準とした感情は知能を低下させます。多数の科学者がスペースシャトルの重さの問題を回避できなかった時に、低賃金労働者が「タンクの塗装をなくす」という発想で解決した(だからオレンジ色なのです)のも、深く考えずに「重さ」だけを考えていたからです。科学者がこんな単純な問題を見落とすのは、科学者達が理想で描いた「スペースシャトルが白く塗装されたタンクと一緒に飛んで行く」というストーリーが感情を固定したからです。

注意

注意すべきなのが知識武装によって感情を制御しようとすることです。これは逆効果になります。知識を付けようとすると自分が信じているストーリーを裏付けする情報を集めたくなるからです。より柔軟性を失います。

このようなストーリーは無意識で作られます。酒屋でドイツ音楽が流れるとビールが売れ、フランス音楽が流れるとワインが売れるのは、無意識で客がストーリーを作り出して感情に繋げているからです。

タイミング

最も無意識でストーリーが作られて、感情に結びつきやすいのがHALTSというタイミングです。これは空腹 (Hungury)、怒り (Angry)、孤独 (Lonly)、疲れ (Tired)、悲しみ (Sad)を感じている時です。洗脳する宗教団体が人を孤立させて、疲れさせて、食べ物を与えず、世間や政治に怒りを募らせて、悲しい思いをさせてから、入信勧誘を始めるのはこれを知っているからです。私達音楽家は人の感情に訴えかける音楽と言うストーリーを作る側の人間です。これらの行動科学を踏まえて、全ての行動を「これはストーリーが感情を作っているだけじゃないか?」と疑ってかかる必要があります。

まとめ

これからの音楽人生は資産形成において、あらゆる選択を迫られることになります。その都度合理的に正しい判断をするためには、自分が見聞きするストーリーと感情を切り離すトレーニングが必要です。

 

上記は『音楽家の資産形成術』の50章のうち第9章を簡略化しました。

この記事が良いなと思ったら是非お手にとって頂けると私に170円ほど入りますので飛び上がって喜びます。

最後までお読み頂きありがとうございます。

津本幸司

こちらでお目にかかれることを心待ちにしています。

画像
2025年は銀座のど真ん中でアナタの人生はスタートするのです。